古びた倉庫がアートスポットに! 参礼文化芸術村

  •  外観は古びた印象だ。建物の外壁のあちこちが赤黒く錆びついている。時の流れに逆らえない姿。「参礼農協倉庫」という文字も色あせている。

     ところが、いざ中に足を踏み入れると、全く異なる空間が広がっている。最新のコンピュータ技術を駆使したメディアアート作品が目に入ってくる。空き缶数百個に電球を付けて鉄の棒で立てた作品は、音楽に合わせて左右に揺れる。万頃江の川辺のアシが風に揺れる姿を表現したという。現代的感覚が際立つ「ビジュアルメディアアート美術館」だ。

     ここはもともと、日本による植民地時代、コメや麦を保管していた穀物倉庫だった。2010年以降、現代式貯蔵倉庫に押され、本来の機能を失い、放置されるようになった。また、全羅線の複線化事業により参礼駅が300メートルほど離れた場所に移され、商圏は活気を失った。全羅北道完州郡は、人々が去ったこの空間に新たな複合文化・芸術施設をつくり、観光スポットとして開発するという計画を打ち立てた。「参礼文化芸術村」プロジェクトだ。2012年5月からおよそ1年間に40億ウォン(約4億円)を投じ、広さ1万1825平方メートルの敷地と倉庫の建物を整備した。歴史的意味を生かそうと、古い木材や錆びついた鉄製扉など、歳月が感じられる構造物を最大限利用した。こうしてできた建物7棟にはビジュアルメディアアート美術館、本博物館、本工房ブックアートセンター、デザイン博物館、キム・サンリム木工所、文化カフェ「オス」、総合案内所が入っている。館長たちは協同組合をつくり、毎年完州郡が支援する6-7億ウォン(約6000-7000万円)で文化芸術村を運営している。入場料は大人2000ウォン(約200円)、青少年1000ウォン(約100円)で、65歳以上の高齢者・完州郡民・国家有功者らは無料だ。

  •  2013年6月のオープン以来、口コミでうわさが広まり、4年間に14万8400人余りが訪れた。毎年参礼邑の人口(およそ1万4700人)の2.5倍ほどがやって来るというわけだ。完州郡文化芸術課のキム・ミギョン主務官は「芸術村ができ、死にかけていた商圏が少しずつ蘇っている。周辺の商店街の昨年の売り上げは、2013年に比べ平均7.1%アップした」と語った。

     本博物館は入り口から構成が面白い。玄関ドアの左側にある「正直な書店」では小説や雑誌、絵本などを販売しているが、店員がいない。本代は良心に従い、料金箱に入れればよい。協同組合のキム・テホ理事長は「参礼文化芸術村を訪れた人たちは、創作活動や生業に熱中する文化・芸術人たちの姿をそばで見守るという、一風変わった体験ができる」と語った。

完州= キム・ジョンヨプ記者
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