悲しい愛の物語が伝わる仁川の名所、延烏郞灯台

  •  「仁川港役務船防波堤灯台」は活気があふれ、慌ただしい沿岸埠頭にある。新鮮な魚を安く購入できる仁川総合魚市場、サッパ(ママカリ)刺し身和え通りなど、沿岸埠頭の風景を背に、海辺にそびえ立つ仁川港役務船防波堤灯台と真っ赤な夕日が見事な風景をつくり出す。

  •  仁川港役務船防波堤灯台は「延烏郞(ヨンオラン)灯台」とも呼ばれているが、この名称は新羅時代、延烏郞と細烏女(セオニョ)夫婦の悲しい説話に由来する。ある日、延烏が海辺で海藻をとっていたとき、突然岩が延烏を乗せたまま日本へ。夫を探してさまよっていた細烏は、夫が脱いでおいた履物を見て、その岩の上でずっと夫を恋しがっていた。すると、それを見た天が感動し、岩は細烏を日本へ乗せていき、夫婦は再会する。延烏郞灯台は、夕日を取って食べたような切ない赤い光を5秒に1回ずつ放ち、別れる人たちの恋しい思いを水に流している。

  •  しかし、悲しい愛の物語とは異なり、くびれたデザインに真っ赤な外観、灯台の明かりはとても美しい。この真っ赤な灯台は、近くにある白や黄色の仁川港沿岸港南・北防波堤灯台とともに、信号の役割を果たしている。白い灯台は灯台の左側に、赤い灯台は灯台の右側に出入りするようにという意味で、黄色い灯台は近くに工事区域のような施設があり危険だから注意するように、という信号だ。カラフルな灯台の色が仁川の生活、生命を担う仁川港を守っているというわけだ。

     東仁川駅から12番バスに乗って「防波堤入り口」で下車すると、すぐに役務船防波堤にたどり着く。海の風景が鮮やかに描かれた壁画や古典の代名詞とも言える『沈清伝』が描かれた防波堤の道の果てには、仁川大橋や八尾島を抱く美しい海が広がっている。このとき、近づいてくるかすかな船の汽笛の音とともに仁川港を見下ろす延烏郞灯台のシルエットからは、にじみ出るような恋しさが感じられる。
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