韓国で今、隠れ家カフェが人気

  •  スマートフォンの地図にはきちんとカフェが表示されているが、建物のどこにもカフェの看板がなかった。その代わり、建物1階入り口のガラスのドアに「Twoffice」という小さな案内がはられていた。階段を上がって5階に行くと、デザイン事務所兼カフェがあった。カフェの窓の外には、犬の絵が描かれた青い旗がはためいていた。その旗が知る人ぞ知る、カフェの目印だった。

     韓国で今、カフェがひそかに狭い路地や古びた建物にできている。「まさかこんなところにカフェはないだろう」と思われるほど、予想だにしない場所にあるというわけだ。ソウル市内でも乙支路や松坡区にこうした隠れ家カフェが多く存在している。カフェ「4F」は乙支路の芳山市場裏に位置する印刷通りの中でも人々の往来がほとんどない、奥まった場所にある。この店を訪れた日は路地の入り口にトラックが停車しており、しばらく迷ってしまった。「4F」と書かれた小さな立て看板の向かいのドアを開けると、古びた印刷機1台がポちんと置かれており、あらためて面食らってしまう。壁に沿って設置された狭い鉄製の階段を上がっていくと、2階に注文を受けるカウンターがある。お茶を飲む空間は、再び階段を上がった3・4階にある。「珈排島」「Crumb.」「オルタナティブ」「アッパーサイド」「Oh
    linzi」など、最近松坡区で有名なカフェも、ロッテワールドタワーや石村湖のような観光スポットではなく、住宅街にある。

  •  隠れ家カフェを訪れる人たちは、独特な空間や雰囲気を消費するためにやって来る。「4F」で会ったイ・アルムさん(22)は「美大生の友人が見つけてステキだと教えてくれたのでやって来たのだが、コーヒーやトーストもおいしくて満足だ」と語った。「対話をしながら思索にふけるサロン」を標榜する合井洞の「趣向館」は、空間と雰囲気を味わう時間を販売している。2階建て住宅の外観にほとんど手を付けることなく営業している。玄関を入ると、ホテルのコンシェルジュのように、まず従業員が客を迎える。コンシェルジュは客にチェック項目のある用紙を手渡す。一緒に来た人と話をしたければ「talker」を、一人で思索にふけったり読書をしたり、何か書きたいものがあるときは「thinker」に表示を入れる。カフェの利用料は2時間1万ウォン(約1000円)、5時間で2万ウォン(約2000円)。コーヒーやお茶、ビール、ワインなど、ドリンク1杯の料金が含まれている。一般的なカフェがドリンクを購入することで空間と時間を楽しめる反面、ここは時間と空間を購入すればドリンクが付いてくるというわけだ。

キム・ソンユン記者
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