韓国人シェフ、美食の国でフランス人の舌をうならせる

  •  「フランスでフォアグラをよく食べたが、このような味は初めてです。香ばしい風味が生きていますが、全く脂っこくありません」

     9月14日夜(現地時間)、フランス・ブルゴーニュの古城クロ・ド・ヴージョで、韓国文化と料理を伝える「水刺床(王の食膳のこと)フェスティバル」が開催された。国連教育科学文化機関(ユネスコ)セネガル代表部のモハメド・サール一等書記官は「驚くべき味」として親指を立てて見せた。サール書記官が食べたのは、韓国人シェフのイ・ヨンフンさん(34)の代表的メニューである「煮干しだしのスープをかけたフォアグラ」だ。

     この日行われたイベントには、パリのユネスコで働く32カ国・地域、44人の外交使節団とブルゴーニュの政・官界関係者ら97人が招待された。今年で9年目を迎えたこのイベントは今回、飲食店格付け本「ミシュランガイド」で星を獲得した韓国人シェフ2人がフランス料理と韓国料理を組み合わせたメニューで外交使節団の舌を満足させた。

  •  イさんはフランスで「食の都」と言われるリオンで飲食店「ル・パスタン」を営み、2016年にフランスで活動する韓国人で初めて、「ミシュランガイド」で一つ星を獲得した。この日、イさんとともに調理を行ったクォン・ウジュンさん(38)はソウル市江南区新沙洞で飲食店「クォン・スクス」のオーナーシェフを務めており、同じく2016年に「ミシュランガイド」で二つ星を獲得した。

     薄く切ったアワビにキャビアをのせた後、30年物の種しょう油をふりかけたクォンさんの料理も、この日人気満点だった。クォンさんはアワビもキャビアも全て韓国産を使わなければならないとし、食材を空輸してきた。種しょう油はクォンさんの母親がつくったものだ。ブルゴーニュ州の観光局長は「無理に混ぜ合わせたフュージョン料理ではなく、とても自然な韓国式フランス料理だ」と語った。

     水刺床フェスティバルは、韓仏文化交流団体「わが文化世界に(G3C)」のハン・サンイン代表(68)が主催している。ハン代表は「最後の開城商人」と言われる開城商会のハン・チャンス会長(2000年死去)の娘だ。1973年に留学生としてフランスに渡り、その後定住。ブルゴーニュ地方で築いた人脈を活用し、2010年からこのイベントを開催している。ハン代表のはからいにより、今年は「美食の国フランスで韓国料理の底力を見せよう」と意気投合した。

     イさんとクォンさんはこの日招待された人たちに「韓国的な感じを生かしたフランス料理をつくるためにベストを尽くす」と語り、大きな拍手を浴びた。ブルゴーニュ州副知事は「水刺床フェスティバルに来るたびに珍味を味わえる。今年出された料理はどこでも見たことがない特色あるもので、特にブルゴーニュワインとよく合う」と語った。

ブルゴーニュ= 孫振碩(ソン・ジンソク)特派員
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