清渓川の路地裏を行き交う曲芸師

  •  ソウル市内を流れる清渓川でのランチタイム。小さな工場が集まっている路地では、お盆を頭にのせた女性たちが忙しそうに歩いている。頭の上に手ぬぐいを折ってのせ、その上にお盆が何枚もきちんと重ねられている。各お盆には鍋やおかずが盛られた器、温かいご飯がぎっしり並んでいる。一番上には鍋を温めるカセットコンロまでのっている。路地を歩くスピードが速くなるほど、高く積み重ねられたお盆が揺れる。しかし、決して落ちることはない。カメラを手に追いかけると、自分の額にも汗が流れる。

     清渓川の工具商店街で持ち場を離れられない人たちのための食事配達サービス。少し前に一帯がリモデリングされ、レトロなカフェ通りができるなど、周辺の環境は大きく変わったが、お盆を頭にのせた女性たちの姿は20年前と何も変わらない。目的地に到着し、ドアを開けると、食事を待っていた人たちが「来たね!」と言ってうれしそうに出迎える。女性たちの頭にのっていたお盆がボリューム満点の一食に変わる瞬間だ。

     明るい笑顔を浮かべて食事をさし出し、急いでまた食堂に戻る。たまっているお盆だけで数十個。「お昼の時間が過ぎたら少し休めそうですね」。無邪気な私の慰めを受け、女性たちは笑いながら言った。「何言ってるのよ。さっき配達した器をまた取って来なくちゃ」

オ・ジョンチャン記者
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