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1時間待っても飲みたい! 韓国で今、黒糖ドリンクが人気
「アトラクションに乗るため待っているみたい!」。5月25日午後3時、ソウル市麻浦区の弘益大学近くにある黒糖バブルティー専門店前。並んで待っている人たちの間から出た言葉に、笑いが起こった。この日、ソウルの最高気温は29-30度を記録したが、1時間待っても黒糖バブルティーを購入しようという人たちでにぎわっていた。写真共有ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「インスタグラム」で人気を集めている、いわゆる「インサテム(インサイダーアイテムの略)」を手にした人たちは、片手を45度振り上げ、ドリンクの写真を撮るのに夢中だった。およそ10坪ほどの店内から始まった列は、店の外にも伸び、30-40メートルほどに達していた。
大邱市からやって来たという会社員のアン・ハヨンさん(26)は「ソウルに遊びに来るたびに、気になっていた店を1軒ずつ訪ねている」と語った。アン・ハヨンさんは黒糖ドリンクの魅力として「特有の甘み」を挙げた。「黒糖シロップは、学生時代に学校で買って食べていたカルメ焼きの味に似ている気がする。昔懐かしの味というか」。一緒に来ていたボーイフレンドのキム・ウォンジュンさん(28)は「購入したらすぐに写真を撮ってインスタグラムにアップするつもり」と言って笑った。
◆見た目もよく写真映えもする極限の甘み
2017年に台湾で流行し始めた黒糖ブームが今夏、韓国の食飲料業界に押し寄せている。黒糖はサトウキビの絞り汁を煮詰めて作る、未精製糖だ。精製過程を経ていないことから、黒に近い濃い色を帯びている。精製糖に比べ、渋みや苦味といった雑味が多く、甘みも強く感じられる。ミルクティーなどに黒砂糖や黒糖シロップ、タピオカを入れてつくるドリンクを代表メニューとして販売しているタイガーシュガー、THE ALLEY、黒花堂などが最近人気を集めている。
タピオカをカップに入れた後、黒糖シロップをカップの周囲に流し入れ、牛乳やクリームを注ぎ、白い液体の間に黒糖が流れ落ちるような独特な模様が完成する。写真を撮ってインスタグラムにアップするほど視覚的に魅力があるという意味で、「インスタグラマブル(instagrammable)」という表現まで登場した。代表的なメニューである黒糖バブルティー以外にも、アイスクリームに黒糖シロップをかけたものもある。黒糖シロップが流れ落ちるような、白と黒の視覚効果が華やかだ。
特有の甘みにはまったという人も少なくない。就職活動中のペ・ヘジンさん(25)は「ミルクティーより甘い。危険な甘さがストレスを吹き飛ばしてくれる」と語った。思っていたほど甘くないと言う人もいる。黒糖の強烈な甘みが牛乳やクリームと混ざり、ソフトな甘みになるというわけだ。