コーヒーやカフェインがうつ病患者の腸内の微生物環境を改善するのに役立つ可能性があるという研究結果が出た。コーヒーが単なる嗜好品ではなく、うつ病の予防・治療に寄与する可能性が提起されたというわけだ。 最近、メンタルヘルス研究分野で「腸脳軸」に対する関心が大きくなっている。腸内の微生物が神経系と相互作用し、気分・ストレス反応・炎症などと深くかかわっているという事実が明らかになったからだ。特に、うつ病患者において腸内の微生物構成の変化が引き続き観察され、腸内環境とメンタルヘルスの相関関係が注目されている。▶一日1万歩は忘れて…30分で終わる話題の「日本式ウオーキング」とは?

 昭和医科大学の真田建史教授の研究チームは、うつ病患者32人と健康な成人34人、計66人を対象に、コーヒーおよびカフェインの摂取と腸内の微生物の変化の相関関係を調べた。 その結果、うつ病患者は健康な人に比べ腸内の微生物の多様性が低く、特に炎症性微生物の比重が高い傾向が見られた。その反面、コーヒーやカフェインをずっと摂取していた参加者の場合、腸内環境が肯定的に変化するはっきりとしたパターンが確認された。 真田建史教授の研究チームは、コーヒーやカフェインの摂取がポリフェノール、イソフラボンの代謝に関連する腸内微生物(Coriobacteriales Incertae Sedis)の増殖を促進するという点に注目した。この微生物は、抗炎症作用やストレス反応の緩和に寄与することが知られている。腸脳軸として気分調節と神経系機能に間接的に影響を及ぼす可能性がある。実際に研究では、コーヒーをたびたび飲んでいるうつ病患者ほど、該当の微生物がより高い比率で確認された。 研究チームは「コーヒーが覚醒作用を超え、腸内の微生物の生態系のバランスを回復させるのに役立つ可能性がある」とした上で「これを通じてうつ症状の緩和や予防に寄与する可能性がある」と主張した。 真田建史教授も「うつ病患者の腸内の微生物は健康な人たちとは構成が異なり、炎症やストレスに弱い」とした上で「コーヒーの摂取がこの不均衡を改善する糸口になるかもしれない」と話している。 ただし、コーヒーやカフェインの摂取がすべての人に肯定的な影響を及ぼすわけではない。カフェインを過度に摂取すると不安感を呼び起こしたり、睡眠の妨げになる恐れがある。一部の人たちの場合、消化不良などの症状が見られることもある。したがって、コーヒーやカフェインを活用したメンタルヘルスの管理においては、適切な摂取量と個人的な反応を考慮することが重要だ。 なお、今回の研究結果は「The Showa Medical University Journal」最新号に掲載された。

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