クッキー、サンド、フィナンシェ…すべてが薬菓(韓国の伝統菓子の一つ)だった。
ソウル市竜山区で有名なデザート店「ウィベイクラブ」で今年のホワイトデーに最も人気を集めた商品は「バニラ薬菓クッキー」だった。クッキーにホワイトチョコレートとバニラクリームを混ぜてつくったガナッシュをのせ、その上に薬菓をのせた。
昨年、20-30世代の間で爆発的な人気を集め、いわゆる「薬ケッティング(薬菓+チケッティング)」という新造語まで生まれた薬菓が今年、デザート界のスターに浮上している。若い世代が列をつくって待って食べるほど関心を集めているのを受け、薬菓をポイントにした西洋式デザートが相次いで登場している。
薬菓をクッキーの上に丸ごとのせたり、薬菓のかけらをクッキーの生地に混ぜて焼いた薬菓クッキーが最も基本的なものと言えるだろう。フランス式のアーモンドバターケーキ「フィナンシェ」にミニ薬菓をのせて焼いたものもある。薬菓と薬菓の間にクリームをはさんだ薬菓サンドも登場した。有名ベーカリー「Cafe Knotted」は今年1-2月、スコーンの上に薬菓を丸ごとのせた「薬菓スコーン」を限定販売した。
会社員のキム・ソヨンさん(35)は「一週間に2個ずつ薬菓クッキーを食べている」とした上で「もっちりした薬菓としっとりしたクッキーの食感の違いが面白しく、薬菓だけ食べるよりもくどくないのが魅力的」と語った。
薬菓は圧倒的な甘さが特徴だ。小麦粉とはちみつで生地をつくり、油で揚げた後、はちみつや水あめなどに漬け込んでつくる。食の評論家イ・ヨンジェさんは「薬菓は寝かせる段階でシロップを変えると味や香りを変えられるため、現代的な変容が可能だ」とした上で「若者たちの間で薬菓がスポットライトを浴びており、デザート業界が先を争うように薬菓を活用しているという感じ」と話している。