誰しも一度は、服を選ぶためにクローゼットの前で長時間立ち往生した経験があるだろう。服は個性を表現する手段の一つだが、毎日何を着るか悩むことには、想像以上に多くのエネルギーを費やす。
こうした疲労感を軽減しようと、同じ服を何着も購入し、あえて選択の幅を狭めた人々がいる。アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏、メタ最高経営責任者(CEO)のマーク・ザッカーバーグ氏、バラク・オバマ元米大統領、元プロ野球選手のイチロー(鈴木一朗)氏などが代表的だ。彼らのように毎日同じ服を着ると、どのような効果が得られるのだろうか。
それは、脳の疲労感を緩和し、集中力を高めることができる点だ。意思決定を多く行うと、当初は計画の策定、問題解決、注意集中、作業記憶、感情調節といった複雑な判断を下す領域である「前頭前野」が発達する。しかし、集中力を伴う意思決定を継続するほど、神経伝達物質である「グルタミン酸」が前頭前野の皮質に蓄積され、その程度が過度になると機能が低下する。フランスのパリ脳研究所の科学者らによる研究によると、グルタミン酸が蓄積された状態では、精神を集中させて仕事を処理したり、最善の意思決定を下したりすることが困難になるという。
不必要な刺激と所有を最小限に抑えるライフスタイルである「ミニマリズム」への関心が高まっている理由もここにある。ミニマリズムを実践すると、ストレスホルモンであるコルチゾールの数値が下がり、脳が処理すべき情報量が減ることで、認知負荷が減少する。これにより集中力と業務効率が向上し、心理的な安定感を得ることができる。
一方、選択の対象を減らす方法以外にも、重要な選択の間に休息を取ったり、頭の中にある考えを整理・記録したりすることも、選択による疲労感を緩和するのに役立つ。睡眠を取れば脳の老廃物が除去され、寝る前に得た情報が整理されて脳機能が向上する。考えを目に見える形で記録すれば、注意力が分散するのを防ぎ、脳を活性化させることができる。
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