【ヘルス朝鮮】必ずしも実際に身体を動かさなければ運動効果が得られないわけではない、という研究結果が発表された。
韓国の釜山大学スポーツ科学科と湖西大学ゲームソフトウェア学科の共同研究チームは、釜山市内の高齢者福祉館を訪れる65-84歳の高齢者38人を対象に実験を行った。被験者は全員、正常な認知機能を備えており、神経学的・精神医学的な疾患も持っていなかった。研究チームは彼らを無作為(ランダム)に二つのグループに分けた。一方は3D仮想現実(VR)のアバター運動を行う「実験群(アバター群)」、もう一方はアバターなしで同じVR内の風景だけを鑑賞する「対照群(コントロール群)」だ。
この研究は週3回、1回あたり20分ずつ、6週間にわたり計18回実施された。研究チームは、注意力や記憶力などの認知機能検査、情緒状態、そして生理学的信号(バイタルサイン)を測定した。
実験の結果、アバター運動を行ったグループは全般的に認知機能がより大きく改善した。両グループともにある程度の改善は見られたものの、実験群においてその改善幅がより顕著であることが分かった。
記憶力においても差が生じた。いくつかの単語を聞かせた直後に思い出す「即時再生(即時回想)」と、一定時間が経過した後に再び思い出す「遅延再生(遅延回想)」の双方において、アバター運動を行ったグループの能力がより大きく向上した。
「身体的自己効力感(自分の身体に対する自信)」も実験前より高まった。アバター運動を行った実験群ではこのスコアが有意に上昇したのに対し、対照群では大きな変化が見られなかった。
研究チームは「アバターを通じて間接的にでも運動をやり遂げたという経験が、高齢者の身体的な自信を後押しし、肯定的な情緒(ポジティブな感情)へと繋がった可能性がある」と説明した。あわせて、記憶力や注意力も改善することから、長期的な観点における認知症(チマ)予防の効果も期待できるという。
さらに、生理学的な変化も確認された。イメージトレーニング(想像)にすぎず、実際には椅子に座ったまま足を動かしていないにもかかわらず、左ふくらはぎ(下腿三頭筋)の筋肉から測定した筋電図(EMG)は、時間の経過とともに有意な変化を示した。実際の動きが全くなかったにもかかわらず、「足を動かす」という想像を巡らせただけで、ふくらはぎの筋肉から微細な電気的変化が感知されたのだ。
ただし研究チームは「3D VRを活用したイメージトレーニング(想像運動)が、実際の身体運動を完全に代替できるという意味ではない」と強調した。心肺機能の向上や血圧・血糖値の調節、筋肉量の維持といった全身の健康に直結する効果は、依然として実際に身体を動かす運動を通じてのみ得られるという。
なお、この研究結果は学術誌「デジタル・ヘルス(DIGITAL HEALTH)」に掲載された。
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