認知症の遺伝要因があっても…心臓・肺の健康を保てばリスク低下
2024.12.11 11:13

 遺伝的な要因などによって認知症のリスクが高い人でも、心臓や肺が健康だったら認知能力が長期的に向上し、認知症のリスクもまた大幅に低下する可能性があるという研究結果が出た。

 20日(現地時間)、英国のスポーツ医学ジャーナル「British Journal of Sports Medicine」によると、スウェーデン・ストックホルムにあるカロリンスカ研究所のウェイリー・シュー教授のチームは、39歳から70歳の英国人6万1214人の心臓・肺の健康と認知機能および認知症のリスクを12年間追跡観察し、このような結果を得たと発表したという。

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写真=UTOIMAGE

 心肺機能は、循環器系と呼吸器系が筋肉に酸素を供給する能力だ。年齢を重ねるにつれて骨格筋の筋肉量および筋力は低下する。20-30代では10年でおよそ3-6%減るが、70代になると10年で20%以上急速に減少する。

 研究チームは、対象者たちの心肺機能を検査し、上・中・下グループに分けた。そして、神経心理検査で認知機能を測定し、アルツハイマー病の多遺伝子性リスク点数を付け、認知症に対する遺伝因子も検査した。観察期間に認知症と診断された人は553人(0.9%)だった。

 分析の結果、心臓や肺が健康な人はそうではない人に比べ認知機能が高く、認知症リスクが低いことが分かった。心臓や肺の健康上位グループは、下位グループに比べあらゆる認知症発症率が40%低く、認知症の発症時期も1.48年遅かった。認知症リスク因子を持つ人もまた、上位グループに属する場合、認知症リスクが35%まで低下した。

 研究チームは「この結果は、心臓や肺の健康が認知能力の向上および認知症リスク低下と関連があることを示している」とした上で「アルツハイマー病の遺伝的素因が大きい人にも、心臓や肺の健康を守ることが予防戦略になり得ることを示唆している」と強調した。

 ただし、「観察研究なので因果関係を究明することはできず、UKバイオバンクの参加者たちは一般の人たちに比べ健康な場合が多く、認知症の発症事例数が過小評価された可能性があるなど、限界がある」と認め、追加の研究の必要性に言及した。

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朝鮮日報日本語版