一日5000歩の効果…「歩くだけで認知症の進行を遅らせることができる」
2025.11.17 13:34

 一日に3000歩歩くだけでもアルツハイマー型認知症が進むスピードを3年ほど遅らせることができるという研究結果が3日(現地時間)、国際学術誌「Nature Medicine」で発表された。300人近い中年・老年を最長で14年かけて追跡・観察し、分析した論文で、5000-7500歩ずつ歩いた場合には7年遅らせることも可能だという内容が込められている。

 米国ハーバード大学医学部、マス・ジェネラル・ブリガム(MGB)などの共同研究チームは、認知機能が正常である50-90歳の296人を長くて14年かけて観察、分析した。研究に参加した人たちは、研究を開始したときは皆、認知機能に問題がなかったが、およそ30%はアルツハイマー型認知症に関連するタンパク質に挙げられる「アミロイドベータ」が脳にすでに蓄積された状態だった。

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写真=UTOIMAGE

 アミロイドベータは本来、神経細胞機能の調節に関与するタンパク質だが、異常かつ過度に蓄積され、塊(プラーク)をつくると神経細胞の損傷を誘発し、認知機能を低下させる。これまでの研究によると、認知機能が正常であっても50歳のおよそ10%、90歳のおよそ40%でアミロイドの蓄積が確認されている。

 今回の研究の参加者たちは、定期的に認知機能検査や脳のスキャンを受け、万歩計を活用して一日の平均歩数を測定した。

 研究チームによる分析の結果、脳にアミロイドベータが蓄積された認知機能正常の成人の場合、一日に3000-5000歩歩くだけでも認知機能低下が始まる時点が3年ほど遅くなることが分かった。5000-7500歩では、7年ほど遅くなるという効果が観察された。

 研究チームは、このように毎日歩く運動をすると、アルツハイマー型認知症に関連するまた別のタンパク質であるタウの蓄積が鈍化する傾向がみられることを確認した。特に、アミロイドベータがすでにたくさん蓄積している人たちにおいて、この効果が顕著だった。アミロイドベータが蓄積されると、タウ・タンパク質も増加し、認知機能低下につながることが知られているが、歩く活動がタウの蓄積を遅らせ、認知機能低下がゆっくり進行するものとみられる。

 研究チームは、5000-7500歩ずつ歩いたとき、認知機能低下のスピードを遅らせるピークを迎えたと主張した。7500歩以上歩いても、追加の効果はほとんど観察できなかったという。あえて1万歩ずつ歩かなくても効果を得られるということだ。研究チームは「3000-5000歩歩くだけでも意味のある差が表れた」とした上で「活動量が負担になる高齢者にとって、現実的な目標になり得るだろう」とコメントした。

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チョソン・ドットコム/朝鮮日報日本語版